準備と器具

Posted on 24th 5月 2011 by admin

欧米の手術室のようにブロックルームはないので,神経ブロックは手術室で全身麻酔の準備下におこなっています.多くはフェンタニル50-100mcg+ドルミカム1-2mgの鎮静下に施行していますが,腸骨筋膜下ブロックやアンクルブロックは全身麻酔導入後に行っています.基本的には超音波ガイド下に主に平行法で行い,神経刺激装置は用いていません.B-Braun のプレックスフィックス23G 5cmのブロック針で大部分のブロックを行なっています.神経刺激の行えるブロック針も置いていますが,神経が見えにくい臀下部坐骨神経ブロックのときだけ使用しています.下図は上から23G 5cmのブロック針,22G 10cmのブロック針,22G 5cmの神経刺激用ブロック針(スティムプレックスA)です.

下肢のブロックは立って行うことが多いですが,上肢,特に腋窩ブロック,肘付近で行う正中や橈骨神経ブロックなどは椅子に座って行っています.シングルショットは15分程度,持続腸骨筋膜下ブロック+坐骨神経ブロックで30分程度を要しています.慣れると硬膜外麻酔と比べてもそれほどの時間はかからないようです.

局所麻酔薬
薬液は主に0.375%アナペインを用いています.腕神経叢,大腿神経,坐骨神経,腸骨筋膜下のブロックでは20ml,橈骨,正中,伏在神経などさらに末梢のブロックでは5-10ml程度を投与します.持続時間は部位によって多少異なりますが,10-12時間程度です.より長時間の鎮痛が必要な場合は0.5%ポプスカイン20mlを使用します.鎮痛効果は18-20時間程度のようです.腱板断裂手術などの場合,アナペインのシングルショットのみでは夜中から効果が薄れるため,持続注入またはペンタゾシン,モルヒネなどの追加投与が必要でした.ポプスカインを使うと朝まで鎮痛効果が持続します.

超音波診断装置
ソノサイトのMicroMaxxを使用しています.起動が早く,丈夫で本体を架台からはずして持ち運べる点が便利です.あらかじめ,患者氏名と施行するブロック名を入力し,画像をCFカード保存しています.ブロック完了後落ちついた時点で,カードをパソコンに読み込んで,再確認しています.ブロックを始めたころは,この再確認が手技の上達にとても役に立ちました.落ちついてみると,ブロック施行時には見逃していたところが見えてきます.

シングルショットの準備
針は23G 5cmのブロック針(B-Braun,プレックスフィックス)でほとんどのブロックを行っていますが,坐骨神経ブロックでは22G 10cmのブロック針を用いています.プローべカバーは縫代のない傘袋を滅菌して代用しています.坐骨神経ブロックなどプローベからかなり離れたところから穿刺する場合はプローベカバーは使っていません.シングルショットでブロックする準備は以下の写真です.看護師2名を助手として,一人は薬液注入,もう一人にはプローベのコードを支えてもらい,必要に応じて画像の記録をお願いしています.ドレープは使用せず,エコーの画像がよくみえるように,たっぷりめのイソジンで消毒し,乾かないうちにブロックを行っています.

持続ブロックの準備
カテーテル挿入を行うときは,B-Braunの硬膜外キットを使用しています.これに延長チューブ,傘袋,輪ゴムを追加します.18G 8cmのトフィー針,多孔式の硬膜外カテーテルをそのまま使用します.薬液はカテーテルの血管内迷入を察知するために,0.75%アナペインと1%キシロカインEを等量混合したものにしています.消毒の後,硬膜外キットに付属の透明ドレープをかけ,カテーテルを穿刺部の近く,取りやすい所に置きます.トフィー針に延長チューブを取り付け,中を局所麻酔薬で満たした状態で穿刺を行います.10ml程度注入した後にカテーテル挿入を行います.現在,持続注入を行っているのは,腸骨筋膜下ブロックが主ですが,カテーテルは針先から10cm-15cm程度挿入しています.カテーテルを留置したら,血管内迷入などを除外するため,吸引試験をし,残りの局所麻酔薬10mlを注入します.問題なければ,ステリストリップで固定し,さらにその上を透明ドレッシングで固定します.48時間以内に抜去するので針糸固定は行っていません.

略語
斜角筋間ブロック ISB (Interscalene Brachial Plexus Block)
鎖骨上ブロック SCB (Supraclavicular Brachial Plexus Block)
鎖骨下ブロック ICB (Infraclavicular Brachial Plexus Block)
腋窩ブロック AXB (Axillary Brachial Plexus Block)
腸骨筋膜下ブロック FICB (Fascia Iliaca Compartment Block)
大腿神経ブロック  FNB (Femoral Nerve Block)
膝窩部坐骨神経ブロック PNB (Popliteal Sciatic Nerve Block)
伏在神経ブロック SNB (Saphenous Nerve Block)
その他の略語
CFNB(Continuous Femoral Nerve Block), CFPNB(Combined Femoral and Popliteal Nerve Blocks), CPSNB(Combined Popliteal and Saphenous Nerve Blocks)