持続腸骨筋膜下ブロック

Posted on 10th 7月 2012 by admin

腸骨筋膜下ブロックはカテーテルを挿入して,持続ブロックとすることができます.十字靭帯再建や人工膝関節置換術など術後疼痛の高度な膝の手術に有効です.
腸骨筋膜を破ったら,局所麻酔薬を10ml程度投与し,トフィー針の針先を上にむけて10-15cmほどカテーテルを挿入します.ついで,カテーテルから残りの薬液を注入し,なるべく中枢側まで薬液が届くようにします.これだけカテーテルをすすめると液漏れもほとんどなく,鼠径靭帯を超えて薬液が広がるので,大腿神経,外側大腿神経がブロックされます.鎮痛効果は交差法で行う持続大腿神経ブロックとほぼ同じと考えています.

穿刺針:18G 8cmの硬膜外針.B-Braunの硬膜外キットを用いています.カテーテルは多孔式の硬膜外カテーテルです.

薬液:0.75%アナペイン10ml+1%キシロカインE10ml.カテーテルの血管内迷入を感知するため,1%キシロカインEを混入.
持続注入には0.2%アナペイン4ml/hrで24時間から最大48時間まで留置し,疼痛時レスキューは0.2%アナペイン8ml注入としています.

適応:膝の人工関節置換術,ACL再建術,大腿骨骨幹部骨折など.膝関節の手術では坐骨神経領域の鎮痛も必要なので坐骨神経ブロックの併用が望ましいです.

方法:体位,プローベの当て方はシングルショットと同様ですが,18Gの太い針で穿刺するので,腸骨筋膜を破る時の抵抗が大きいです.大腿神経を損傷することがないように穿刺部位の決定は慎重に行います.まず,鼠径溝上に平行にプローべを置いて,大腿動脈,大腿神経を確認.少し外側に平行移動して90度プローベを回転させ,腸骨筋膜を同定します.念のため,下の動画のように,プローベを内側に平行移動し,大腿神経の長軸,大腿動脈を確認してもとに戻すとよいかもしれません.

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腸骨筋膜がわかりやすく,筋膜下に大腿神経が走行していないところを穿刺部位とします(下図).

穿刺部位を定めたら,マークをして消毒を行います.ドレープをかけ,カテーテルを手元に置きます.硬膜外針に延長チューブを接続し,中を薬液で満たしておきます.18G針で皮膚をカットし,トフィー針で穿刺します.このとき消毒が乾いているとエコーの画像がみえなくなるので生食またはイソジンで濡らします.針の向きはおおよそ剣状突起の方向になります.腸骨筋膜を破ったら,針の切り口を上にむけてからテスト注入の後,薬液を注入しながら針を中枢側に進めます.10ml程度注入したら,エコーを置き,延長チューブをはずし,カテーテルを10-15cm程度挿入します.カテーテルはスムースに進むことが多いです.カテーテルを残して針をぬきます.刺入部のメモリは15cm前後になります.もう一度エコーをあて,カテーテルの走行を確認し,吸引試験をしてから残りの薬液10mlを注入します.エコーで薬液の広がりがみえることもありますが,みえなくとも血管内迷入がなければそのまま留置で問題ありません.ステリストリップで固定し,透明ドレープを張って完了です.

次は,カテーテル挿入前までの動画です.カテーテルは盲目的に挿入していますが,術後の鎮痛効果は良好です.

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